地球侵略、巨大UFO風レンズ雲を撮る。

P7310086,UFO,レンズ雲,UAP,lenticular cloud
絶妙な構成のレンズ雲。

2022年7月31日18:34千葉県内の自宅ベランダにて撮影。

特撮映画のUFOみたいなレンズ雲。

黒雲から抜け出て、地球を侵略にやってきたUFO…ではなく、「レンズ雲」です。アメリカでは「UFO」ではなく(Unidentified Aerial Phenomena = 未確認空中現象)という意味で「UAP」と呼ぶこともあるようですね。私が子供時代は皆「空飛ぶ円盤」って呼んでましたっけ…。

ちなみに「UFO」という言葉が出てきたのは、1970年に日本テレビ系で放映された「謎の円盤UFO」じゃないかと思います。ただこの時の読みはまだ「ユー・エフ・オー」なのです。「ユーフォー」という読みが定着したのは、1977年12月に発売された「ピンク・レディー」の「UFO」という大ヒット曲からじゃないかと思います。

当時SNSにこの写真をアップしたのですが、今でも「これ、本当にUFOじゃなかったの?」と、冗談気味にからかわれることがあるほど、リアルに写ってしまいました。本当に不思議な構成の写真です。レンズ雲だけ真っ白で、上下のおどろおどろしい雲は真っ黒。しかも、上下の雲はステージの緞帳のようにレンズ雲を挟み込んで、まるで何かの予兆を告げているかのようです。

「予感」と「シャッターチャンス」を逃すな。

2分後、崩れ、隠れてしまったレンズ雲。
2分後、崩れ、隠れてしまったレンズ雲。

実はこの日は夕陽を撮ろうと、自宅のベランダでスタンバイしていましたが、太陽は早々と下部の黒い雲の中に隠れてしまったのです。「残念、部屋に戻ろうか…。」と、考えたのですが、何故だかまだ何かの予感が残っていました。で、そのまま西の空を見ていると、このドラマが始まり、夢中で撮りました。当時の続きのカットを調べると、ものの1~2分後にはこの雲は、形がくずれて黒い雲の中に埋もれてしまっていました。実に幸運でした。シャッターチャンスにも恵まれたと思います。

「インデペンデンス・デイ」か、「未知との遭遇」か。

この写真を見るたびに、96年公開のローランド・エメリッヒ監督のSF映画、「インデペンデンス・デイ」を思い出します。ただ、今考えると、設定やストーリは、ホントにもうハチャメチャな映画だったのですね。オープニングでは、直径24kmもの大型円盤「シティ・デストロイヤー」が、ニューヨーク、ロサンゼルス、ワシントンD.C.をはじめ、世界中の大都市上空に現れ、全人類が滅亡の危機に迫られます。なのに終盤では、主人公達が敵エイリアンの母船UFOに潜入し、MacからPCウィルスを流し込んで、形勢が一気に逆転します。私は映画館のロードショーで観ましたが、「エイリアンも同じ二進法のPC使って、同じプログラムベースのPCを使ってるワケないだろ!」って、椅子からズッコケてしまいました…。

そういえば、78年公開の スティーヴン・スピルバーグ監督のSF映画、「未知との遭遇」にも、どこか似ています。ラストシーンの山(ワイオミング州にあるデビルスタワー“悪魔の塔”)に、マザーシップが現れるシーンあたりでしょうか。主人公達が、それを仰ぎ見つめる顔がとても素敵でした。私は、映画としては、インテリジェンスやロマンを感じるこちらの方がはるかに好きです。

レンズ雲の大きさを推測すると…。

ところで、この写真のレンズ雲は、どれくらいの大きさなのでしょう?かなり遠くにあったような気がします。RAWデータのメタ情報を調べてみると、35mm換算で「400mm画角の望遠レンズ」で撮影していました。細かい計算をしないと、なんとも断言はできませんが、数十〜数百m位の直径があったのかもしれません。

私はそれまで「レンズ雲」には、数回出会ったことがありました。ただ、どのケースも青空の中に、ひとつ、ふたつ、ぽつんと、浮いているだけで、それほど魅力は感じませんでした。あくまで「雲の種類のひとつ」として、記録用としてパチリと撮るだけだっのです。

同じレンズ雲でも、構成やライティング次第。

ところが、この時のレンズ雲はまるでの特撮のような実にダイナミックでリアルな演出がなされていました。周囲の構成次第でこれほど「UFO」ぽく見えるなんて!ただ、形状こそ円盤型ですが、表面はあきらかに水蒸気、つまり“雲”であることがしっかりとわかります。当然ですが、回転や点滅もしていませんでした。ま、もしこの時、表面が「金属的」で、「窓」や「ライト」が付いていたら、大変な騒動になってますよね…。

あとで気付いたのですが、太陽がこのレンズ雲より先に隠れ、左下から光が当てられたことにより、雲のハイライト部が「半逆光」気味になり、不思議な巨大感が演出されているのです。下部にある雲も、少しだけ輪郭が照らされることで、つぶれずに立体感がでています。偶然とはいえ、自然は、実に小粋で憎らしいライティング(照明の設定)をしてくれました。

空を撮り出してから、鳥と飛行機の遭遇率に驚く。

夕陽の中を通り過ぎた旅客機。
夕陽の中を通り過ぎた旅客機。

私は朝陽と夕陽、雲を撮り始めてまだ数年です。撮るようになってから「飛行機と鳥は思いの外、たくさん空を飛んでいる」「けっこう、構図の中に写ることが多い」ということを知りました。

最近のライフワークの1つとして、ミラーレス一眼で超望遠レンズ(35mm換算で600〜1200mm)のレンズで太陽を撮っています。

構図の半分近くのサイズで太陽が撮れるのですが、この時、太陽に旅客機が通りすぎるのを何回も体験し撮りました。また鳥や昆虫でも同様です。

まぁ、私の場合は、かなりファインダーを見ているので「旅客機が通りすぎた」「鳥がかすめた」のを承知でシャッターを切っています。それでも「切った時にたまたま飛行機や鳥が写りこむ」体験も何度もあります。ですから、一般のユーザーが、あまり意識せず撮ったあとで「これは何だ?」と、謎の物体のように飛行機や鳥が写るケースが多々あることは、無理もないと感じています。

夕陽の撮影中、鳥が写り込んでしまった例。
夕陽の撮影中、鳥が写り込んでしまった例。

ちなみに夕陽や朝陽を、かつての一眼レフカメラでファインダーをのぞきながら撮るのは、ちょっと危険な場合がありました。夕陽や朝陽でも「直射日光」ではあるので、ミラーを経由した光を肉眼で見てしまうのはリスクがあったのです。

その点、ミラーレスカメラのファインダー映像は、すでに電子的に変換された映像ですから、目への刺激は相当抑制されているはずです。

またこの場合もシャッタースピードが速くなりがちなので、「NDフィルタ」の使用をオススメします。また、太陽の輪郭も「NDフィルタ」を使用した方がまあるくなって輪郭が撮りやすくなるようです。

参考リンク:川沿いにずっと続く、秦野市の桜並木を撮る。「NDフィルタとは」

実は本物のUFOの、目撃体験が…。

夕陽に照らされた飛行機雲の例。
夕陽に照らされた飛行機雲の例。

最後に余談なのですが、実は私は小5の時にに、説明のつかない、文字どおり「未確認飛行物体」を香川県の実家で目撃したことがあります。

秋の夕方、実家の裏山の東の空に浮かんでいたのです。けっこう大きくて、月と同じくらいの大きさで、まんまるな円形でした。円内は明るいオレンジ色で光り、周辺は明るく輝いた緑色のフチがゆらめいていました。5~10秒ほど静止していましたが、そのあと雲の中に隠れて見えなくなってしまいました。夕暮れ時に東の空の方向ですから、夕陽ではけっしてありません。さすがに「金属の表面」や「窓」は付いていませんでしたが…。あれ、一体何だったのでしょうか?