オレンジ一面の海、朝焼けの市川塩浜を撮る。

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市川塩浜のオレンジ一面の朝焼け。

2022年12月16日06:13千葉県市川市塩浜2-31塩浜三番瀬公園にて撮影。

オレンジとブルーのライトマジック。

塩浜三番瀬公園は市川塩浜駅が最寄りです。アラカンで機材を抱えた私でも、歩けばほんの7、8分で公園に着く距離なのですが、2021年に開園されたばかりのせいか、朝焼け撮影ではなかなか穴場なのです。この日、始発を降りて公園に着くと、なんと海全体が、オレンジ一面の朝焼けで照らされているではありませんか!東京湾がこれほど色鮮やかに、こんな広い範囲で、光に包まれる絶景があるなんて!(近くに「ふなばし三番瀬海浜公園」という場所もあるので、間違えないようにご注意!)

「早起きは三文の徳」とはよく聞きますが、この日は「三文」どころではない!とんでもないボーナスデーだったのです。見上げると、空はほどよい高さから、それは見事なコバルトブルー。オレンジ、ブルーで絶妙に二分された「ツートンカラーの世界」が拡がっていたのでありました。

ところで、この構図だと、海が空へ向けてオレンジに光っているように見えるんですが、よく考えると、原理的には本当は逆なのですね。「海が地平線に近くの空の光を映している」というのが真相なのです。ただ、それがわかっていても、私の眼には、海そのものがまるでオレンジのLEDライトで発光しているように見えて仕方がありませんでした。

この日の朝の海は、何故だか魔法のように波が立っておらず、鏡のような滑らかさ。こんな真っ平らな水面の東京湾は見たことがありませんでした。朝焼けに照らされる頃、海は波立たないものなのでしょうか?いやいや、そんなことはありません。よーく見ると、わずかですが、さざ波のように少し波立っているところがありました。ただ、あまりに強いオレンジの光が、そんなところも一気に塗りつぶしていたのです。

誰もいない市川塩浜三番瀬。
誰もいない市川塩浜三番瀬。

この日、公園に来ていたのは、なんと私だけ!こんな素晴らしい風景をたったひとりで眺められるなんて、本当にいいのでしょうか?根っからの貧乏性だから、照れてしまうではありませんか!エベレストや北極とかの絶景ならば、まぁ、わからなくはありません。だけど、東京湾でこんな凄い演出ってありなのでしょうか?偶然とはいえ、この日、この時間、この場所にいた者しか味わえない至宝の体験。なんだかすごく贅沢な気分になりつつも、同時に「誰かにこの思いを分けてあげられないものかしら…。」と、妙に殊勝な私。だけど、この時の私にできることは、ひたすらただシャッターを切ることだけでした。

スズカモの群れも…。

V字隊列らしきフォーメーションで飛ぶ鳥群。
V字隊列らしきフォーメーションで飛ぶ鳥群。

よく見ると、豆粒のような黒い点がところどころに浮いていました。スズカモの群れです。風に揺られながら、静かに穏やか~に、実に平和~に、泳いでいました。エサを探しているのでしょう。時々首を水面に差し込んでいます。この日は波が穏やかだったせいか、テリトリーもあまり気にならないし、天敵もいませんでしたから、争いあう姿もまったく見られませんでした。

ただ、そんな彼らもれっきとした渡り鳥。シベリア東部、カムチャツカ半島からはるばる飛んできた見かけによらずたくましい鳥なのです。(スズカモは、貝などのアサリをまる飲みにして砕くために砂肝がとても強く大きくなっているそうです。)意外なことに、東京へも渡り鳥って、たくさん来ていて、この東京湾をはじめ、上野の不忍池や、葛飾区の水元公園でも見ることができます。

電車で向かう時には、要注意。

公園最寄りの市川塩浜駅は、JR武蔵野線と京葉線が複雑に乗り入れしている駅です。特に西船橋方向から向かう時、電車の選択には要注意です。ある時は東京方向へ、ある時は千葉方向へ向かってしまいます。私は、これまでこのチョイスをよく間違えていたのですが、スマホアプリの「駅すぱあと」を使うようになってから、やっと間違えることなく向かえるようになりました。

五井工業地帯のシルエットと朝陽。
五井工業地帯のシルエットと朝陽。

実は私はこれまで市川塩浜を全く知らず、全然縁がなかったのですが、師走の12月になると、この公園の海岸から絶好の方角で朝陽が昇ってくることを、調べて知りました。朝一番の武蔵野線に乗って向かいます。この日駅に到着したのは日の出の25分前。遅くとも、15分前には公園で撮影を開始したいところでしたが、まぁ早足で向かえば、なんとか間に合う近さですから、慌てず慎重に。

まずは改札を抜ける前に、お手洗いへ。季節を問わず駅を出る前に済ませておくのは、もう習慣どころか、義務になってしまいました。(アラカンの私にはここで用を済ませておかないと、あとでトイレを探し回り、膨大に時間をロスしてしまうことがあるからです。)

夜景でも手ブレに強いミラーレス!

階段を下りて、海岸手前の手すりまで行ける。
階段を下りて、海岸手前の手すりまで行ける。

塩浜三番瀬公園に砂浜はありません。人工的に整備された公園だと思われます。海との境界には、しっかりとした手すりが敷設されています。

ただ、今回のように薄暗い時間帯では、どうしてもシャッタースピードが遅くなりがちです。今回のメインカットでは、「Aモード」(絞り優先モード)で、絞りF8 ISO400で、シャッタースピードは1/10秒でした。

かつてのフィルムカメラでは、1/30秒以下あたりからブレやすい危険ゾーンだったのですが、現在の「ボディ内手ブレ補正機能」のあるミラーレスカメラは、ものすごく優秀で、手すりにもたれて静かにシャッターを切れば、1/10秒や1/4秒位なら、問題なく手ブレを防いで撮れると思います。(「1秒や2秒でもイケる!」とおっしゃる方もいますが、まぁそれは腕次第ですかね…。)

実際このカットも46mm(35mm換算)の画角ですが、これは公園の遊具にもたれて撮影したものです。むろん三脚で撮るにこしたことはありませんが、私の場合、三脚の出番は、ここ数年激減しました。その大きな理由は私のOM-1では強力なボディ内手ブレ補正機能があるからです。ハンドリング(あらゆる場所での撮影)とシーン数を重視するため、あちこちを手持ちで撮る私にとっては、本当にありがたい機能です。