日本の桂林、岡山県北木島を撮る。

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岡山県北木島の今岡丁場跡

2023年1月22日14:37  岡山県岡山市北木島にて撮影。

「北木島」は、花崗岩の名産地。

石切りの渓谷展望台
石切りの渓谷展望台

北木島(きたぎしま)は、「北木石」という花崗岩の算出・加工で知られた島です。ここの石は良質なことで評価がとても高く、東京駅、大阪城の石垣、靖国神社の鳥居等、多くの建物に使われています。現在は海外の安価な輸入石に押されて採石は減少していますが、ここの砕石場を見学できるツアーがあるとのことでやってきたのです。

訪問の前の週に電話し、予約を完了しておきました。有料「大人1,000円、小学生500円」です。さらに見学の時間が「平日12:00~13:00、土日祝11:00~13:00」と限定されていることに注意しておく必要があります。

船の「のりば」は早めに来場し、きっぷの購入を。

笠岡港から乗ってきた高速船
笠岡港から乗ってきた高速船

前日は倉敷市内に宿泊し、早めに就寝しました。(←ここ重要です。私は、アラカンになってから身にしみているのですが、前日ゆっくり休んで眠っておかないと、翌日の行動にモロに反動が出てしまいます。当日やや苦しくなってきた時に“もうひとがんばり”できる体力・気力をチャージしておくことはとても大切だと考えるようになりました。)

翌朝、6時過ぎに宿をチェックアウト、6時半に倉敷駅を出て、笠岡(かさおか)駅へ向かい7時前に着きました。ここで、私はあぶないミスをしでかしました。まず、笠岡駅から港へ向かうには、いったん北口を出て大回りでガードをくぐり、南側に出なければなりません。(南口というものは存在していなかったのです。)ここまでで250mほど。それから国道を渡り港まで300m…と、意外と駅と港は離れていたのです。なのに、周辺をパチパチ撮りながら呑気に歩いてしまったのです。港が見えたあたりで、あと10分を切っていることに気付きます。

しかも、今回はまず先に「真鍋島」へ高速船で向かうことにしていました。ところが、フェリーと高速船の「のりば」が違うのか、あるいは同じなのかを、あまりよく調べていませんでした。「たぶん、アレだと思うのだけど…。」と、目を凝らしますが、確信が持てないので、慌ててGoogleマップやサイトを見ます。そんなささいな確認でも時間はどんどん過ぎてゆきます。

出港時間は7:25と知っていたのに、のりばに着いたのは4分前でした。乗船券を買う時間が際どいです。船はもうすぐにでも岸壁から離れそうな勢いです。「え~と、どのボタンを押せば…。」と、まごまごしていると、「そのまま、乗ってええから!」と、船員さんに指示され、飛び乗ります。いや~、危なかった。まずは「船のきっぷは、早めに先に買っておく!」のは、旅先での鉄則でした…。

「真鍋島」へ。撮りたくても、船の時間最優先で。

真鍋島の路地
真鍋島の路地

高速船は「白石島」→「北木島」を経由し「真鍋島」の本浦港に8:09に到着しました。計画では、1時間かけて路地を撮りながら歩き、東へ向かい、岩坪港を目指します。9:15に岩坪港を出れば、9:39には北木島楠港に着けるのです。「まぁ、1km未満の距離だから、なんとかなるだろう…。」と、考えていたのですが、なかなか魅力的な路地や民家が多く、1時間などあっという間でした。民家の多くが古びていて、道も水路も、昭和の初期で時間が止まってしまっているかの様です。

ただ、道の途中で誰もおらず、人が暮らしている気配が感じられませんでした。残念ながら、他の瀬戸内の島と同じく「過疎になりつつあるのかなあ…。」という非情な現実も感じました。

まぁ、私はそれを承知の上で撮りに来ており、たくさん撮っておきたい気持ちがあるのも事実です。しかし、船に乗り遅れてしまうと、今日の予定はすべて台無しですから、一部の撮影は諦めて岩坪港へ急ぎ、予定通り9:15に出ました。

「楠港」から展望台までを歩く。

北木島町内の運河
北木島町内の運河

9:39に北木島の「楠港」に着きました。ここは島の北東側の港です。見学を予約している北西の「石切りの渓谷展望台(いしきりのたにてんぼうだい)」とは、4.5kmほどの距離がありますが、受付時間は11時~ですから、なんとか間に合うでしょう。ところが、撮りながらだと時間は思いの外かかりました。途中、石切場や、砕石場、加工の工場を撮りながらだと、やはり2時間もかかってしまいました。

「渓谷展望台」受付で、意外な有名人クイズが。

石切りの渓谷展望台入り口
石切りの渓谷展望台入り口

11:30に展望台受付に着きました。見学者は私だけとのこと。ガイドのおじさんに展望台を案内してもらいます。まず、受付前で現場責任者(元責任者?だったかもしれません)の方の写真を見せられ、「この方は、某有名人のお父様です。誰でしょう?」と、いきなりクイズです。しかし、私は偶然にもすでに察しがついていました。「千鳥の大悟のお父様では…。」と。「あ、ご存知でしたか!」と返されましたが、実は私は大悟さんがここの出身ということしか知りませんでした。ただ「有名人」と言われたら、もうこの人の父親じゃないかと…。ただ、お父様がここの責任者だったのは、そこで初めて知りました。

「石切りの渓谷展望台」は迫力満点。桂林か、アバターか。

渓谷展望台から見えた真下の水たまり
渓谷展望台から見えた真下の水たまり

受付から200mほど進んだあたりで、採掘された巨大な穴が見えてきました。断崖絶壁です。深さは60m以上あるそうです。穴の中に見学用の鉄骨のステージが組まれていました。ステージに入ろうとした時にガイドのおじさんから「ちょっと揺れますから、気をつけて。」と言われました。私にはごく軽く揺れる程度の印象でしたが、高所恐怖症の方はもうここでアウトかもしれません。ステージは、深ーく掘られた桂林のような岩と樹に囲まれた別世界でした。そうそう、映画「アバター」(2009年公開 監督:ジェームズ・キャメロン、主演:サム・ワーシントン)を思い出しましたね。

おじさんは北木石が「かつては東京駅をはじめ、全国の有名建築のあらゆるところで使われたこと」、「今でも数名の職人さん達で採掘されていること」などをお話いただき、最後にかつて職人が歌っていた「北木島石切唄」を歌ってくれました。掛け声の「♪アア ヨイトショー ヨイトショー」まで入れてくださって…。いわゆる「労働歌」のひとつですね。カンカンと、岩を打つ音が聞こえてくるようでした。

北木の桂林(今岡丁場跡)へ。

水面への反射が美しい今岡丁場跡
水面の反射が美しい今岡丁場跡

さて、今回の写真ですが、ここまでお話した「石切りの渓谷展望台」ではなく、そこから400mほど北東の「今岡丁場跡」という別の場所です。実は「渓谷展望台」もかなり撮ったのですが、あまりのスケールに広角8mmのレンズでもうまく収まってくれませんでした。なので、「渓谷展望台」はあらためてより「超広角」か「魚眼レンズ」でのリベンジを考えています。

さて、こちらの「今岡丁場跡」は「穴」ではありませんし、スケールも控えめだったのですが、目線の高さから眺めることができ、水面との反射もあっていい感じで撮れました。

このあと豊浦港まで歩きながら島を撮り、16時半に島を出て笠岡港へ戻り帰京しました。

実は午後からの移動は、計画をだいぶ縮小しました。疲れてしまったのです。事前に船の時刻表とにらめっこしながらかなり綿密に移動計画を立てたつもりだったのですが…。調子がいかに良くても、若い時の70%くらいしか動けなくなったことを思い知らされました。

天橋立で借りた電動自転車。凄くラク。
天橋立で借りた電動自転車。凄くラク。

この体験と反省もあって、このあとの「天橋立」の旅から、私は「レンタル自転車」に注目し、出番が激増してきます。調べてみると、地方でも自治体や観光案内所で「レンタル自転車」のサービスは意外に多くなってきているのです。まれに予約不可のところもありますが、とにかくこれも事前予約しておくことをオススメします。また、電動自転車がオススメ。坂道でもラクラクです。