ブレードランナーの雨。秋葉原の夜を撮る。

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ブレードランナー的に路面が濡れた秋葉原の夜

2020年2月22日 18:59東京都千代田区外神田1丁目にて撮影。

ブレードランナー的 雨の秋葉原の夜!

ビックカメラAKIBA前交差点の夜景。
ビックカメラAKIBA前交差点の夜景。

秋葉原の雨の夜景です。今回の撮影では、「薄暗くなっていること」「路面が濡れて、看板の灯が反射していること」をポイントにしました。意識したのは、サイバーパンクのSFカルト映画の傑作「ブレードランナー」(1982年公開。主演:ハリソン・フォード、監督:リドリー・スコット)です。この映画の中でも、舞台となる未来(と言っても2019年の設定です!すでに過ぎてしまいましたが…。)のロサンゼルスの道のシーンは、いつも雨で濡れていて、初めて見た「汚い未来」なのに、なぜだか幻想的でした。

メカニックデザイナー・シド・ミード

これは、メカニック等をデザインしたアメリカのデザイナー、シド・ミード氏のイメージスケッチからの影響が大きいと思います。実はミード氏は初期段階では、クルマのデザインのみが依頼されたのですが、デザイン画には、クルマの周辺に濡れた路面の都市がリアルに描き加えられていました。これが制作陣に非常に気に入られ、室内や電子機器、あらゆるもののデザインも担当することになったのです。

この映画の中では「スピナー」と呼ばれる空も飛べる自動車が、ライトに照らされながら、走行したり、濡れた路面に離着陸するシーンが出てきますが、それがもうカッコいいのなんの…。でも、当時映画を見ながら「さすがにクルマが空を飛ぶコトなんかは永遠に来ないだろうな…。」と、私は考えていました。ところが、近年になってそのうち登場してもおかしくない状況になってきました。テクノロジーの進化、まったくおそるべしです。

公開時は大コケだった「ブレードランナー」

私は、この「ブレードランナー」を新宿のロードショーで観ています。(浪人だったのに!)主演のハリソン・フォードは、すでに「スターー・ウォーズ」でビッグスターになっていたのですが、公開時は大コケでした。観客は4〜5人しかいませんでした。まぁ、当時のキャッチコピーが「2020年、レプリカント軍団は人類に宣戦布告!」ですからね。(コピーライターが全く観ずに書いたことが、まるわかりですね。)ただ、この映画は、当時の言葉では、どうにも表現しきれなかったかもしれません。「サイバーパンク」って言葉なんて、まだ無かったわけですし…。しかし、この映画はリバイバルや、ビデオレンタルによって、カルト的支持を得てゆくようになります。

私にも、その影響は絶大でした。大学ではまずインダストリアル(工業)デザインを目指すことになります。方向を変えて、グラフィックデザインや撮影をするようになり、40年を経た現在でも、その影響が出てきてしまいます。私以外でも、多くのクリエイターの人生を方向づけた傑作映画だと思います。

映画の路面が濡れている理由

路面の灯の反射具合をよく確認して撮ろう。
路面の灯の反射をよく確認して撮ろう。

濡れた路面だと、灯が反射して2倍になって見え、汚れていても何か洗い流してくれてる様な、不思議な説得力を感じさせる効果があります。

実はハリウッド映画では「なぜだか路面が濡れている」という手法は、この映画以前から、沢山あるそうです。「情緒感」や「質感」を出すための定番演出になっていて、撮影の現場では、監督や美術スタッフの指示で、急遽水をまいて撮ることもあるそうです。恋愛ミュージカル映画「ラ・ラ・ランド」でも、そういったシーンが出てきます。

メイドカフェ嬢が並んで立つ通りで…。

小雨でもレンズ前の水滴に注意。
レンズ前の水滴が写った例。

さて、このカットではコロナ前の撮影でしたので、マスクをしてる人はごく一部です。ただし、それなりの雨だったので、傘を差しての撮影でした。本音を言わせてもらうと、降ったあとに雨がピタッっとやんでもらうと有り難いのですが、強く祈っても、そううまくはいきません。うっかりすると、待っている間に、路面が水がさっとひき、乾いてしまうこともあります。案外、都心の道の水捌けは早いのです。

この道の奥にはJR総武線のガードが架かっていて、奥にまだまだビルが並んでいます。この辺の構図は「バットマン・ビギンズ」の街「ゴッサム・シティ」にも似ています。このアングルからだと、電車がビルの中をぶち抜いて通っているようにも見えてしまいます。

そしてこの通りならではの最大の特徴は、左右に「呼び込み」のメイドカフェ嬢が大勢並んでいることです。但し東京都の条例で、この「客引き行為」は厳しく規制されています。秋葉原でも取り締まり要員が常に目を光らせているはず…なのですが、許可証の携帯とか、ビラまきの制限等のルールを守っていれば、どうやら大丈夫らしいです。「いかがですか〜。」と、きゃぴきゃぴした声を出してはいるものの、呼び止めるような事はしていなそうでした。

しかし、こんな寒い雨の夜の通りに立つメイドさん達は、たくましいですね。よく見たら、店から支給されてるのでしょうか、ダウンのコートを着てますね。ただ、ほとんどが黒。そして足下は短め…。たぶん厳しいノルマとかがあるんじゃないか?と、勝手に推察したりするのですけれど、本当に、身体冷えないのかしら?(この撮影時は、寒さのピーク、2月の後半でした!)

秋葉原の看板は、電気関連のものと混じったりしているせいか、歌舞伎町などと較べると、いくぶん違ってやや子供ぽいカラーリングのもの、青緑やブルー、イエローなどの割合が多いように感じます。深夜営業の店舗が少なく、お客さんの大半は終電までには帰ってしまうでしょうから、看板が消灯してしまうのは早いですね。

雨の中での撮影機材は

Kenkoの「撥水タイプ」レンズプロテクタPRO1D。
Kenkoの撥水レンズプロテクタPRO1D Lotus。

カメラとレンズは当然なのですが、「防塵・防滴」仕様のものをオススメします。入門用とか、初心者用のは、買い求め安い価格なのですが、「非防塵・防滴」タイプである場合があります。ただ「防塵・防滴」仕様でも、「防水」ではないという点に、くれぐれも注意してください。私はこんな時の撮影は、カッパ姿(両手に自由度を持たせるため)で、タオルを何枚も用意して、レンズをマメにふき取りながら撮るようにしています。

そうそう、レンズに「レンズプロテクター」を必ず付けましょう。これはレンズを保護するための無職透明なガラス製のフィルタです。カメラ屋さんで1000〜2000円程度で販売しています。レンズの口径をチェックしておくのを忘れずに。(レンズ先端横側に●●mmと、刻印されているはずです)少し高くなりますが、雨の水滴をはじくためのコーティング処理がされた「撥水タイプ」のものだとよりベターです。

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Posted by katzhal